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食道癌手術の疑問 なぜ食道をほとんどとらないといけないの?

H19年卒、医師15年目の西山と申します。

私は主に食道癌の治療を担当させて頂いています。
食道癌の手術は10時間かかる時もある大きな手術です。
頸~胸~腹にわたる食道のうち入り口近く以外の食道のほぼ全てと胃の一部を切除します。

「こんなに広くとらんといけんとは思わんかった。」

とおっしゃられる方もいらっしゃいますし、
私自身も学生時には癌の部分だけとって食道と食道をつなぐのかなぁと思ってたので、
実際に手術を知るとびっくりしました。

癌の厄介なところは徐々にリンパ節や他臓器に転移して広がるところです。
そのため手術は癌があることが分かってる場所だけでなく、
周りのリンパ節も一緒にとる必要があります。

食道はリンパ流が発達していて、
腹部に近い場所の癌でも頸に近いリンパ節に転移することもあり、
食道周囲の必要なリンパ節を切除すると周りの組織と一緒に血流もなくなってしまうため、
食道を広く残すことが出来ず、
頸部、胸部、腹部のどこからも処置が必要な大きな手術となってしまいます。

私達はこのような大きい手術を安全に行えるよう日々対策を考えて取り組んでいます。