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「乳がんは遺伝しますか?」

2013年に女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝性乳がんを公表し,両方の乳房を予防的に切除したことは、大きな話題を集めました。

多くの乳がんは、環境や生活習慣などが関与して発症しますが,ジョリーさんのように遺伝性とされるのは、日本人乳がん患者の約4%とされています。

これまでの研究では”BRCA1″”BRCA2″という誰もがもつ遺伝子に生まれつき異常があると,高率に乳がんや卵巣がんを発症することがわかっています。がんの既往歴にかかわらず,一般的に日本人では約200~500人に1人(0.2~0.5%)が,この遺伝子異常をもつHBOC(遺伝性乳がん卵巣がん,Hereditary Breast and Ovarian Cancer)に該当するといわれています。

ご家族に乳がんや卵巣がんを発症した方がいなくても,患者さんご自身が若年乳がんや,両側性・多発性の乳がん,男性乳がん,卵巣がんと乳がんの両方にかかったことがある場合などは,遺伝性の可能性があります。

この遺伝子検査を行うメリットは、もしHBOCと診断された場合,個別の定期検査によるがんの早期発見や適切な治療に結びつけることができることです。リスク低減治療(がんが発症する前に乳房や卵巣を切除すること)により,乳がんや卵巣がんの発症を予防できる可能性があります。また,遺伝の可能性がある場合に,その事実を正しく知っておくことは,患者さんご自身だけでなく血縁者の方々にとっても,健康管理上有用なことがあります。

デメリットとしては、遺伝子検査は絶対ではないということです。HBOCであったとしても,「がんそのもの」を受け継ぐのではなく,「がんが発症しやすい体質」を受け継ぐことになります。遺伝子異常があっても、全員が乳がんを発症するわけではなく(発症リスク:BRCA1…約57%, BRCA2…約49%(70歳までに)、一生がんを発症しない人もいます。自分や家族の乳がんが遺伝性であると知ることは精神的に大きなショックや不安になることもあります。遺伝子異常がなければ一生乳がんにならない、とも言えません。

遺伝子検査のメリット・デメリットおよびHBOCについて正しく知り,自分らしい選択や行動ができるようにお手伝いしたいと考えております。どうぞお気軽にご相談ください。さらに詳しい情報を知りたい方は,ぜひJOHBOCのホームページ(https://johboc.jp)もご参照ください。

 

 

乳腺甲状腺外科

周山理紗