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便秘を甘く見てはいけない

「今日は出ないなあ」「まあ、明日出ればいっか~」。便秘は、多くの方にとって“よくあること”の症状です。私の妻もしょっちゅう便秘になっています。実際、忙しかったり、水分が足りなかったり、旅行に行ったりすると、腸は意外と簡単にストライキを起こします。腸にもきっと気分があるのでしょう。こちらが「今日は大事な日だから頼むぞ!」と力んでいる日に限って、便秘になります。

ただし、この“よくあること”を、いつも軽く考えてよいわけではありません。便秘の多くは生活習慣に関連しています。食物繊維不足、水分不足、運動不足、睡眠の乱れ、ストレス。現代人の腸はなかなか忙しく、快便までの道のりは思ったより険しいものです。実際に、厚労省の調査では現代人の4割は便秘で悩んでいます。特に朝食を抜く、長時間座りっぱなし、トイレを我慢する、といった習慣は、腸のリズムを崩しやすくします。

しかし問題は、便秘が単なる生活習慣の結果ではなく、病気のサインであることがある点です。たとえば大腸がん。腸の中にできた腫瘍が便の通り道を狭くすると、便が出にくくなったり、便が細くなったり、便に血が混じったりします。「最近便秘気味だな」で済ませていたら、実は体からの重要なメッセージだった、ということもあります。また、腸閉塞という病気(腸が捻じれたり、癒着が原因で通り道が狭くなったり、原因は様々)では、便やガスが出ない、腹部が張る、吐き気がする、お腹が痛い、といった症状が現れます。こうなると腸は“少し不機嫌”どころではなく、緊急入院の適応となり、鼻から管を入れたり、最悪緊急手術の可能性もあります。

もちろん、必要以上に怖がる必要はありません。便秘の大半は、食事・水分・運動・排便習慣の見直し、そして必要に応じた下剤の調整で改善が期待できます。しかし、“たかが便秘”と思い込まないことが大事です。便秘はありふれた症状だからこそ、その陰に隠れた異常を見逃しやすいのです。

腸はふだん、文句も言わず働いてくれる頼もしい臓器です。だからこそ、いつもと違うサインを出したときには、少し耳を傾けてあげてください。便秘は、ただ出ないだけの話ではありません。体が出している「病院に行って少し診てもらおうよ!!」という静かなSOSかもしれないのです。そんな時はいつでもご相談ください、我々が力になります。

卒後9年目 鈴木有十夢