医療コラム
虫垂炎になった。手術する?しない?
「盲腸になったら手術」
そんなイメージを持っている方は多いかもしれません。しかし現在では、急性虫垂炎(いわゆる「盲腸」)のすべてに手術を行うわけではありません。病状によっては、抗菌薬で治療する方法も選択肢になります。
ここでは、架空の患者さんを例にして、治療方針の決め方について考えてみます。
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ある日の救急外来。
40代の男性が、右下腹部の痛みを訴えて受診しました。診察の結果は急性虫垂炎。幸い、虫垂に穴が開いたり、周囲に膿がたまったりしている様子はなく、「単純性虫垂炎」と考えられました。
外科医「虫垂炎です。治療は、手術で虫垂を切除する方法と、まず抗菌薬で治療する方法があります」
患者さん「手術は怖いです。できれば手術をしないで治したいのですが……」
外科医「抗菌薬だけで改善することもあります。ただし、途中で炎症が治まらず手術が必要になることや、いったん治っても後に再発することがあります。一方、手術にも全身麻酔や出血、感染などのリスクがあります」
患者さん「手術は避けたいけど、また突然痛くなって病院に行くのも困るな……。今回は手術でお願いします」
腹腔鏡手術は予定通り終了し、幸い合併症なく術後3日目に退院となりました。
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この患者さんは手術を選択しましたが、抗菌薬による治療も選択肢の一つです。
同じ単純性虫垂炎でも、年齢や持病、炎症の程度、画像所見、再発をどの程度避けたいか、手術に対する考え方などによって、適した治療は変わります。また、虫垂に穴が開いたり膿瘍を形成したりする「複雑性虫垂炎」では、さらに治療方針が異なります。
虫垂炎の治療に、すべての患者さんに共通する一つの正解があるわけではありません。それぞれの治療のメリットとデメリットを理解したうえで、患者さんと医療者がよく相談し、一緒に治療方針を決めていくことが大切です。
卒後8年目