「手術のあと、人工肛門になる可能性があります」
このように説明されると、「一度つくったら一生そのまま?」「生活は普通にできるの?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。今回は、人工肛門(ストーマ)について簡単にご紹介します。
人工肛門は「ストーマ」とも呼ばれます。「人工」という名前ですが、機械を体につけるわけではありません。手術で腸の一部をお腹の表面に出し、便の出口をつくったものです。便は、お腹に貼り付けた専用の袋(ストーマ装具)で受けます。
人工肛門には、「永久的なもの」と「一時的なもの」があります。例えば、肛門に近い直腸がんなどで肛門を切除する必要がある場合には、永久的な人工肛門が必要になることがあります。
一方、肛門を残す手術でも、一時的に人工肛門をつくることがあります。これは、手術で腸をつないだ部分に便が通るのを避け、腸のつなぎ目を守ることなどが目的です。術後の状態が落ち着けば、人工肛門を閉じて元の便の通り道に戻す手術を検討します。
「においで周りの人に気づかれるのでは?」という心配もよく聞きます。現在のストーマ装具は便やにおいが漏れにくいように作られており、正しく装着できていれば、普段の生活で周囲ににおいがすることは通常ほとんどありません。
また、ストーマや装具は衣服の下に隠れるため、服を着ている状態で、その方がストーマをもっていると外見だけで気づくことはほとんどありません。皆さんがこれまで街ですれ違った人の中にも、ストーマとともに生活している方がいたかもしれません。
もちろん、最初は装具の交換などに慣れが必要ですが、ストーマがあっても仕事や外出、旅行、入浴などをしながら生活されている方はたくさんいます。手術の前後には、医師やストーマケアに詳しい看護師が、装具の使い方や退院後の生活をサポートします。
もし「人工肛門になるかもしれない」と説明を受けたときには、分からないことや心配なことを遠慮なく医療スタッフに相談してください。
人工肛門は、病気を治療し、その後の生活を支えるための大切な選択肢の一つです。
外科専門医
