当科のがん診療の特色乳がん

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当科の乳がん診療の特⾊

乳がんを中心とした乳腺疾患、甲状腺がん、バセドウ氏病を中心とした甲状腺・甲状腺疾患など、内分泌疾患全般の治療を行っています。乳がんは日本女性のがん罹患率第1位の疾患で、広く知られた一般的な疾患ではありますが、その診療は専門的な知識が必要です。当科ではその専門性を活かして、乳房温存療法、乳房切除術を中心とした治療を行っています。さらに、形成外科専門医の協力により乳房再建も可能です。

特色1

乳がん診断方法の充実

マンモグラフィの読影においては、スタッフ全員がマンモグラフィ検診中央精度管理委員会認定の読影医です。その他、超音波検査、MRI検査、CT検査、PET検査(紹介)などが可能です。異常が認められた場合は、必要に応じて、少量の細胞、組織を採取する超音波ガイド下細胞診、針生検、画像下吸引組織検査(マンモトーム、バコラ生検)などにより診断します。

乳がん診断方法の充実

特色2

3D CT lymphographyを用いたセンチネルリンパ節生検

従来、乳がん手術では腋窩のリンパ節を全部取る手術(腋窩リンパ節郭清)が通常の方法とされていましたが、これによる術後の上肢運動障害、知覚障害などがみられました。これを防ぐため、もっとも転移しやすいと考えられるリンパ節(センチネルリンパ節)のみを摘出し、そこに転移がなければ、それ以外のリンパ節摘出をおこなわない(郭清省略)との考え方にもとづいた、手術(センチネルリンパ節生検)を行なっています。

我々は山口大学放射線科と共同開発した3D CT lymphographyにて、手術前にセンチネルリンパ節をはっきりと描出することに成功しました。さらに3D CT lymphographyのデータを超音波検査機器に取り込ませるRVS (Real-time Virtual Sonography)システムを用いて、センチネルリンパ節を超音波画像で術前に同定し、転移の有無を評価しています。これらの方法により、我々のセンチネルリンパ節生検での同定率(99%)、偽陰性率、術後腋窩リンパ節再発率ともに優れた成績です。

3D CT LGでのリンパ管走向

特色3

再建手術

乳房全摘術の乳房再建に関しては、形成外科と協力し、乳房再建(シリコンインプラント、自家組織)に保険診療で対応できます。

妊孕性温存

若年性の乳がんの患者さんでは、治療により、生殖機能が低下することがあります。妊孕性とは「妊娠するために必要な力」を示す言葉で、乳がんの治療を始める前に妊娠や出産の希望を相談し、希望があれば必要に応じて妊孕性温存が行えるようにしています。乳がんだけでなく若年のがん患者さんの妊孕性温存を目指したネットワーク「山口県がん・生殖医療ネットワーク」に所属する生殖医療提供施設と連携して、治療を進めています。

特色4

遺伝性乳がん

乳がんの約5~10%は遺伝性と考えられており、BRCA1やBRCA2という遺伝子に変異がある「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」が代表的なものですが、その他にもp53変異(リ・フラウメニ症候群)、PTEN(カウデン症候群)などがあります。乳がん・卵巣がん家族歴のある方、若年発症の方、両側乳がんの方などは、遺伝の可能性も念頭に診療を進めています。山口大学医学部附属病院は日本遺伝性乳がん卵巣がん総合診療制度機構(JOHBOC)の乳がん 卵巣がん総合診療基幹施設であり、BRCA遺伝子検査やそれに関わるカウンセリング、未発症の病的バリアント保有者に対するサーベイランスや予防手術が行える施設です。
遺伝学的検査を行い遺伝性乳がんと診断された場合、当院の遺伝・がんゲノム診療部と連携し、遺伝カウンセリングを行い、患者さんの希望に応じてリスク低減手術(予防的乳房切除術)を行う体制を整えています(予防的卵巣卵管切除術は産婦人科に紹介します)。

特色5

年度別手術数

手術療法に関しては、乳がんに対する乳房温存療法は腫瘍の大きさが3cm以下を適応としています。3cmをこえる方で、乳房温存を希望される場合は、術前化学療法(primary systemic chemotherapy)により大きさが縮小した場合、乳房温存療法が可能な場合があります。乳房切除の乳房再建に関しては、当大学皮膚科の形成外科グループと協力し、乳房再建(シリコンインプラント、自家組織)に保険診療で対応できます。

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